パリにて その2

今回はちょうどボジョレー・ヌーボー解禁日の翌日にパリに到着しました。日本みたいにあちこちでポスターを見かけるような販売促進ぶりはさすがにないのですが、滞在中はレストランでワインを注文しようとすると「ボジョレー・ヌーボーがありますよ」と勧められることが度々ありました。

 

日本で解禁日にあたった出発の前日は準備に追われボジョレー・ヌーボーを飲まないまま日本を出発したのですが、幸いにして今年初のボジョレー・ヌーボーはフランスで頂いたことになります。

飲んだ印象としてはフレッシュなリンゴのようなサクサクとした爽やかな風味で、すっきりとしているように感じましたが、皆さんはいかがでしたか?

 

実際にパリでよくうかがうワインバーのご主人に

「今年のボジョレー・ヌーボーはどのように思われますか?」

と伺ったところ、

「今年は軽やかで飲みやすいタイプだと思うよ」

と言われました。

 

シャブリに訪問した際に、ブルゴーニュ在住の通訳さんのお話でも

「今年は開花が遅く、8月の終わりに3日ほど35℃にも上がるような暑い日があったが9月に入ると急に温度が下がり寒い日が続いた」そうで、

ぶどうの収穫が通常よりも2週間以上遅れたところが多かったとか。

 

そんな中で解禁日に合わせて出荷のタイミングが決まっているボジョレー・ヌーボーの生産者は、なかなか難しい判断を迫られたようで、その時期のぶどうの熟成度合いに満足せず今年はヌーボーを造らなかった生産者もいたそうです。

 

しかしドメーヌにとってボジョレー・ヌーボーによって得る収益は、通常熟成させて出荷させるワインと違いすぐに手元に入ってくるという、キャッシュ・フローの面において大きな意味合いを持ちます。なのでヌーボーを造らない、という決断は決して容易なものではありません。

 

ここ数年、ブルゴーニュでは天候の影響でぶどうの収量が激減しています。通常の半分や1/3程度の生産量になってしまったところも少ないそうです。

生産者のセラーを訪問すると、以前は熟成中の樽がぎっしりと並んでいた場所に、今では隅の方にほんの僅かの樽しか置かれていないところもあるのだとか。ワインは農作物の延長にあること。日頃つい忘れてしまいがちですが、せめてボジョレー・ヌーボーを頂くときには改めて考えてみたいと思います。