ワインのキャラクター

家でワインを開ける時に気になること。

もちろんその日何を食べるかはとても重要ですが、それだけではないような気もする今日このごろ。

 

ワインの味わいにも明るいタイプと静かなタイプって、ありませんか?

 

飲むと無条件に気持ちが明るくなるワイン。なんだかついつい饒舌になるような、うきうきした気分になるような。

 

そして反対もあって。

 

飲むとなんだか思わず考えこんでしまうワイン。

引き込まれていく、とも言えますが

どちらかというと無口になるワイン。

 

明るいワイン、例えば前回お伝えしたベルジュラックの白然り

もちろん他にもたくさんあります。

 

対して静かなワイン。

今でも印象的なのですが、とあるブルゴーニュの赤ワインを飲んだ時、

まるで薄暗い修道院の地下にゆっくり降りていくような気分に。

もう言葉もでないですよ、この荘厳さと静けさは。

何人かと一緒に飲んでいましたが、気が付くと皆無言でそのワインと向き合っていたりして。

 多分普段の日に家で一人で開けるには、ちょっと。。。

もしくは女友だちとワイワイ盛り上がりたいって時も、ね。。。

でももちろん素晴らしいワインですよ、

ここまでの印象があるのですから。

 

やはりワインにはそれぞれ似合ったシチュエーションがあるのでしょう。

 

ここまで極端なことはそう滅多にないにせよ、

でもワインってそれぞれやはりキャラクターがあるのだと思います。

 

そしてその日の気分的に

明るいワインが飲みたい時と、静かなワインと過ごしたい時と

ある気がするのです。

 

もちろん明るさや静けさにも色々あって

ふんわりと明るい気分にさせてくれるワイン

勢いがありおしゃべりが弾みそうな明るいワイン

おだやかな静けさを持ち寄り添ってくれるワイン

近寄りがたい静けさを秘めている孤高のワイン

いろんなキャラクターがあるように感じています。

 

 

写真は日本で見かけることは珍しいワインのひとつイランシー。

その中でも代表的な畑のひとつパロットです。

前回渡仏の際に購入してきたもの。

 

このワインは静かなタイプではないでしょうか。

赤や黒の小粒なフレッシュなベリーの香りに

この地方のぶどう「セザール」による野性味が僅かに加わり

まるで森のなかの動物のような自然な佇まい。

 

こういうワインってなかなか日本には入ってこないし、

あまり定着しない。

パワフルである、とか果実味が豊かである、香りが華やかである、といったこのワインとは反対の、「動」のタイプのワインの方が解りやすく消費者に好まれるからでしょう。

 

でもワインのある生活を日常にしている方ならば

毎日明るく同じようなタイプのワインではしっくりこない日もあり、

つまらないのではないでしょうか。

 

このイランシーは

自宅で、なんということのない日常を

大げさすぎず、しかし満たしてくれるそんなワインなのです。