最後はパリにて

すっかり間が空いてしまいました。

しかし前回のフランス話、最後にせめてこれだけはお伝えしたい!

 

あの後ボルドーからパリに。

今回の楽しみのひとつシャングリラホテル・パリの中華ダイニング

香宮(シャンパレス)でのお食事です。

 

日頃から中華とワインのマリアージュも結構気になっているので、フランスではどのように合わせるのか?

もう興味津々です。

 

店内は生演奏の古琴の音色が流れ雰囲気も素敵。

サービススタッフも皆洗練されており、

心地よく食事を楽しむことができます。

 

さてお料理をコースでチョイス。

ワインは行く前から決めていたのですが

ここ香宮にはVINS AU VERREという食事全体を通して5種類のグラスワインをお店がお薦めしてくれるワインのコースがあるのです。

 

自分で選ぶといつもと同じようになってしまいがちですし、

ここはやはりフランス人ならどのように合わせるかを知りたいと思ったから。

 

さて、お料理ですが、

どれも洗練された中華料理です。

でも私的には、これはフレンチチャイニーズかなぁ。

メニューはしっかりと中華なのですが、風味がフランス的。

感覚的には、食材自体の組み合わせが中華でも

出汁や調味料が違う、ないしは使い方が違うような気がしました。

アジアといえば熟成調味料の文化でもあると思うのですが、

そのニュアンスが少ないようにも感じます。

 

もしかしたら日本における中華の方がまだ、

同じアジアであるために中国に近いかもしれません。

(まあ、実際に中国で食べればそれでも違いを感じるのですが)

 

でも、その国の味付けに近いのがいつも正しいわけでもないですものね。

美味しく楽しく食事が出来れば良いわけですから。

 

そう、まずお料理はそんな感じです。

ということはワインにもやはり合わせやすいとも言えます。

 

さて、お楽しみのワイン。

結果的には白4種類、赤1種類でサーヴして頂きました。

いずれも「う〜ん、さすが」のマリアージュでしたが、

特に印象に残った組み合わせをひとつ。

 

海鮮のスープとロワールのシュナン・ブランで造られるヴーヴレー・ドゥミ・セックとの組み合わせです。

半辛口で少し甘みを感じるこのワイン。

アプリコットや黄桃、ミラベルなどの香りを持ち、

もちろんワイン単独ではとても美味しいのですが、

海鮮とは、どうだろう・・・と最初ちょっと疑問をもって口に。

 

しかしそんな懸念を吹き飛ばす見事な一体感!

ワインのややグラを感じるとろみはスープのとろみとマッチして、

熟した果物の香りが海鮮の風味とぶつからずにひき立てます。

恍惚の瞬間ですね。

 

料理とワインの組み合わせというのは

色々な要因(調理法、調味料など)があった上で成り立ち、

必ずしも素材ありきではないのだなぁと

今更ながら感じ入る一時でした。

今までの自分の経験則から「これとこれは合わないかも」と思っていても、何かをちょっと変えるだけで美味しい組み合わせに変わるのですから。本当に勉強になりました。

 

余談ですが、

特にテーブル担当だけ、ということはなく何人かのスタッフやソムリエがサーヴをしてくれますが、そのなかの一人に若き日のトム・クルーズにそっくりのギャルソンがいらして、明るくユーモアある気持ちのよいサービスをしてくれます。

通常の2倍以上はゆうにあるジャスミンティの大きなポット

(まるでランプの精ならぬポットの精が出てきそうな形)を下に敷いた15インチ以上はあろうかと思うお皿ごと片手で持ち上げ優雅にカップに注いだ姿は、食後に思わず見とれたのでした。