なんのお話かというとパリのバゲットコンクールです。
毎年行われているこのコンクール。見事一位のグランプリを受賞したパン職人は一年間大統領官邸であるエリゼ宮に毎日パンを届けるそう。大変な名誉なのでしょうが、それって「すっごいプレッシャーだろうなぁ」とか「おちおち風邪もひけないよなぁ」とか「一年間旅行とか出来ないのかなぁ」とか考えてしまう小心者かつ怠け者の私です。
11月の下旬から12月の初め頃まで一週間ほどパリにいたのですが、
今回せっかくなのでどこか受賞したバゲットを食べてみようと思い立った次第。ステイしていたアパートメントから徒歩圏内にあったのが、
2位を受賞されたオゥ・プティ・ヴェルサイユ・デュ・マレと
5位を受賞されたゴスランのサントノーレ店でした。
平日の木曜日、人通りはほとんど無いまだ真っ暗な朝の7時過ぎ。
バスティーユの朝市に向かいながら、ちょうど道すがらにあたるその2店に続けて寄ってみました。
日頃なかなかパン屋さんをハシゴして食べ比べることはないのですが、
実際にやってみるとその違いがはっきりと感じられて面白いものです。
まず最初に訪れたのが5位のゴスランのサントノーレ店。
厚すぎず薄すぎず、やや固めの絶妙なパリッと感のある皮の部分、
わずかにグレーがかるような色合いに豊かな粉の香り、
そして弾力あるもちっとタイプの中身、
これらのアンサンブルが素晴らしい!
一口かじって思わず「う〜ん、これは。。。」と唸ってしまうほど
なんだかひとつの作品のようなパンなのです。
もうパンだけ食べてても幸せ。
まるで夜道のように暗い人気のない朝の歩道も、
寂しくなくなってくるほどです。
これで5位ってことは2位っていったい。。。と期待に胸をふくらませながら
次のオゥ・プティ・ベルサイユ・デュ・マレに。
ちなみに写真はこちらのお店です。
外観のキラキラ感にひとしきり感心してからいざ店内にてバゲットを購入。
こちらはお店の中や外のテラスにテーブルや椅子が用意されており、
その場で頂くことができるのも素敵です。
さっそくぱくっ。
「あれ?全然違う」
食べながら歩きながら勝手に私が想像していた2位のお店のバゲットは、
さっきの5位のゴスランの延長上にあるスタイルで、さらに何かがすごいバゲット、だったのですが。
しかし全然違うタイプだったのです。
厚すぎず薄すぎずの皮ではありますが、先ほどのゴスランよりも軽やかなパリっと感。中身は真っ白の色合いに穏やかな粉の風味、そしてなにより違うのはそのふわっとした口当たり。全体としてなんて優しい味わい!
食べ続けるうちに思ったのは「お料理のソースをぬぐって食べてみたい!」
そうお料理が欲しくなる味でもあります。
最初のゴスランサントノーレ店のバゲットが、バゲット単独でひとつの世界を表現するほど自己主張の強いものであるのに対し、
オゥ・プティ・ベルサイユ・デュ・マレは一緒に楽しむお料理の名引き立て役になれるバゲットなのかもしれません。毎日の日常にも目立つこと無く溶け込んで。
それにしてもどちらも全く違うタイプで、
う〜ん、バゲットの世界も奥が深いのですね。
そして似たようなことがワインでもあるのは皆さんも承知のはずです。
それにしても、、、ということは
1位のバゲットっていったいどんな味だったのでしょう。
ああ、不精せずに食べてくれば良かった・・・
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