サンセールの石灰岩

艶やかなワンピースをまとったマダムが手にしているのは、サンセールやプイィ・フュメを造るこのドメーヌの畑にある石灰岩です。今回色々な造り手さんのところで実際に畑にある土壌をこのように見せて頂く機会が多く、興味深いものでした。

 

シャンパーニュ地方南部からシャブリを通り、そしてこのサンセールにも続いているキンメリッジアンとポートランディアンの土壌。

マダムが手にしているのは地表を覆っているポートランディアンの硬い石灰岩で、確かに以前シャブリで見たものと非常に似ています。

 

ワインの産地区分として、シャンパーニュ南部はシャンパーニュ地方となり、シャブリはブルゴーニュ地方に包括され、そしてこのサンセールやプイィ・フュメはロワール地方に、それぞれ当然のように属しています。

しかし気候区分や地質年代、土壌から見た場合、この3つの産地は明らかに似通った環境にあると言え、ということは味わいの共通項も多くもつと言えるのです。産地区分として分けられた地方名だけでイメージしていると決して判らないことでもありますね。

 

ちなみにこの造り手さんではプイィ・シュール・ロワールも造っていました。しかもシャスラ100%の。

シャスラ、といえばスイスが有名で、フランスだったらスイスに隣接するサヴォワも産地ですが、ロワールのシャスラ、というのは一般的にあまり耳にすることが無いのではないでしょうか。

造り手さんとしてはサンセールやプイィ・フュメを造った方が高く売れますし、現在栽培面積はソーヴィニヨン・ブランよりもはるかに小さくなっているようですから、日本においてもプイィ・シュール・ロワールを見かけることは非常に少ないわけです。

 

穏やかなハーブのような香りに、すっきりとした酸と穏やかな果実味をもつこのプイィ・シュール・ロワール。ハーブを使ったホタテや白身魚のお料理や、もう少しすると旬が始まるフレッシュなシェーブルチーズはもちろん定番の相性でしょう。さらにもう少し先のアスパラガスとも最高かと。

私としてはたらの芽や蕗の薹など春の山菜類の天ぷらとも美味しそう。

春の訪れが楽しみです。