毎月、もう何年もご一緒させて頂いている皆様とのワイン会があるのですが、今月私が持参したのが写真のワイン。フィリップ・パカレのニュイ・サン・ジョルジュ・ブランです。
ブルゴーニュのコート・ド・ニュイにあるニュイ・サン・ジョルジュ村で造られるワインなのですが、この白ワイン、ぶどう品種はシャルドネではなくピノ・ブランなのです。ニュイ・サン・ジョルジュの谷の東側にあるアルジラという1級畑の下にある畑で造られるワインで、その名の通りアルジラは粘土質の強い畑。その下部ですからやはり粘土が強い畑になります。以前から気になっていたところ、パリで見つけて購入してきたもので、ヴィンテージは2009年。粘土質らしい肉厚なボディ、暑い2009年ヴィンテージなこともあり、たっぷりとした果実味が楽しめました。しかし果実味だけのダレた味わいではありません。
ニュイ・サン・ジョルジュの赤に感じがちなキリキリと引き締める、時として神経質過ぎる味わいからはイメージ出来ない味わいではないでしょうか。そしてシャルドネでないので、暑い年で粘土が多い畑でもぼってりしたり、ごりっとした味わいにはならないようです。
ちなみにこの日、もう1本白ワインがあり、
そちらはシャサーニュ・モンラッシェ。
いつもまずはブラインドで楽しむのですが、ピュリニー・モンラッシェと比べるとゆったりとした味わいに感じるシャサーニュ・モンラッシェも、このニュイ・サン・ジョルジュ・ブランと比べると、細かくタイトに引き締める酸味を感じます。品種の違いだけでなく、土壌の違い、平均気温の違いなど、様々な要因から、一概に南のほうが暖かい味になるというわけではない、ということがよく判ります。
日頃ついつい固定観念として、「ブルゴーニュの白はシャルドネである。」
と考えてしまいがちですが、実際、ブルゴーニュの白の多くはシャルドネとピノ・ブランの使用が認められています。
(もちろんシャルドネのみ認められているところもありますが)
そもそも昔からブルゴーニュにはシャルドネだけでなく、ピノ・ブランやピノ・グリが植わっているのですから、それは当然のことでしょう。
しかし、一般的に消費者の多くにはブルゴーニュの白=シャルドネの認識がありますし、単一品種のワインを良しとする傾向があるため(ことブルゴーニュに関しては。ボルドーではそうならないにもかかわらず)シャルドネ100%のワインが多く造られる傾向にあります。
その結果本来シャルドネに向かいない区画や畑でもシャルドネが造られ、
ブルゴーニュのシャルドネとして高く売られたりもするわけです。
個人的には、その土地や区画にあったぶどう品種から
やはり美味しいワインが造られるのだと思いますし、
色々なワインがあるからこそ面白いと思うのです。
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