パリのレストラン1〜シャルティエ〜

1896年創業の老舗大衆食堂、シャルティエ。11時から22時まで、というフランスは珍しい通し営業。しかも年中無休。(多くのレストランは日曜日はお休みです。)そして予約はいっさい受けず、という、フランスにおいては何かと変わっている、お店なのです。ランチやディナーの時間、そして週末は外まで行列が出来ていました。テーブルは基本的に相席です。(もちろん4名以上であれば1つのテーブルのようです。)相席なんて、私、フランスでこちら以外では未だに知りません。

 

ちょっとドキドキしながら伺ったのですが、(しかも1回目は1人でしたし。)これがなかなか面白い!なんというか見どころ満載なのです。

高い天井、アール・デコの内装、荷物やコートを置くことが出来る電車の荷棚のような網棚がそれぞれのテーブルの上には連なります。片手に7枚ものお皿(!!)をもち、もう片手に2枚のお皿を持ちながらテーブルの間をスイスイ抜けていくギャルソン、左手には5本のワインボトルをかかえ、右手にはトレンチにシャンパーニュグラスを2脚のせた若いマダム(どうやってテーブルに置くのか??)、番台のようなところで出てきた料理をチェックしている貫禄たっぷりのマダム、まるで映画のセットに紛れ込んだかのような雰囲気があります。ギャルソンがオーダーをテーブルに敷いた紙のクロスに書き留めるのも、ここの名物?シーンです。メニューはどれもパリではよく見かける定番料理ですが、一般的なレストランより安い!ちなみに私一人でワインのハーフボトルを1本、前菜、メイン、デザートを食べて、21€でした!パリにおけるレストランでの食事はそれなりに高くつきます。安いランチのムニュやメインとグランスワイン1杯だけ、ならともかく、デザートとハーフボトルまでついてこの価格は他では見かけません。もちろんお洒落、とか気取った盛りつけとは決して言えず、そう、ようは普通の定食屋さんのよう。そして量は全体的にちょっと少なめかもしれません。しかしそれもまた日本人の胃袋には、そして時差ボケでいつもよりはたくさん食べられない身には有り難いのです。

 

場所柄、そして価格が安いことから観光客も多いようで、その人種構成も様々。多くは欧州の方のようですが、アジア系観光客もちらほら。しかし裕福な中国の方がいらっしゃるような場所ではないようで、いらしたとしてもまだ若く、懐が豊かではなさそうな若者のツーリストです。

そして忙しそうに立ち働くギャルソン達の個性も様々。

最初に訪れた時のギャルソンはちょっとサバサバし過ぎているような方で、

フランスのレストランで料理が来た時には大抵言われる言葉「ボナペティ!(召し上がれ!)」もなし。苦笑しながらナイフとフォークを持った私に、同席の品の良いマダムが「ボナペティ!」とにっこり。ああ、これもこのお店の魅力なんでしょうね。一昔前のパリって、もしかしたら、こんな食堂がもっとあったんじゃないかなぁ、と思うのでした。

好き好きが分かれるお店でしょうし、一回行けば十分、という方も多そうですが、私、ここ、結構好きです。