LE BARATIN

今回初めて伺ったレストラン、LE BARATIN。

パリの20区という中心地からは少し離れたエリアにあります。

アルゼンチン人の女性の方が30年ほど前からこの場所で腕を振るっているレストランで、ベースはフランスの家庭料理ですが、その優しい味わいと、ハーブやフルーツなどを巧みに利用してつけられた軽やかなアクセントが驚きを与えてくれます。それなりのボリューム感があるのに途中で食べ飽きず、食べた後の体への負担が感じられないのも見事。

写真は私が注文したリムーザンの仔牛の三枚肉のロティ。一見多いかな、と思いながらも、あっという間に食べてしまいました。味わいにくどさや重さ、しつこさがないのです。友人が頼んだ前菜の豚の耳のサラダも、柑橘の風味やハーブによるすっきりとした味わいと豚の耳のコリコリとした食感が印象的でした。

日本にいる時に連日洋食、とか、フランス料理、なんていうことはまずありませんし、旅行中は時差もあります。まず日本にいるときと同じ万全な体調、というわけにはいきません。そもそも連日外食、というのは疲れるものです。この日もパリ到着後3日目、ちょっと体の疲れが見え始める頃。

しかしこのお店のお料理は、そういった外食による疲れ(主に味付けの濃さや塩分によるところが大きい気がしますが)というものを感じさせないばかりか、優しく、そして新しい美味しさを楽しませてくれました。

 

ワインもグラスで楽しめるものを豊富に揃えており、白、赤合わせて20種類近くあったかと思います。私が判る限り、いわゆる自然派の穏やかな味わいのワインが多く見受けられました。こちらのお料理の雰囲気と良く合いそうなワインです。そして産地もロワールやジュラやサヴォア、ラングドックなど、お値段もお手頃なものを多く揃えていらっしゃいました。

 

パリに住む友人の話では、このあたりはパリの中でも下町のエリアで、人種も入り交じる独特の文化圏だとか。昼間ならともかく、夜、もし知人との待ち合わせ場所にこの地区を指定されたら、メトロの駅からやや離れるなど場所によってはちょっと躊躇するし、タクシーで向かっちゃうかも、だそう。不慣れな旅行者としてはちょっと行くのをためらってしまいそうですが、この美味しさに私は再訪を固く誓っております。