ラムしゃぶとワイン

最近印象に残っているワインと料理の組合せのひとつがラムしゃぶとこちらのワイン。ロワールの海に近いエリア、ペイ・ナンテ地区でもかなり南に位置する地域で、2011年にAOC昇格を果たしたフィエフ・ヴァンデアン・ブレムの造り手、ドメーヌ・サン・ニコラのワインです。海に近いエリアというのは湿度も高いことから、ヴィオディナミを実践するのは大変なことですが(近年ボルドー地方における農薬の使用量の多さが問題になっていましたが)こちらのドメーヌではヴィオディナミを実践されています。

さて、ワインは「Le Poire2008」品種はネグレットです。日頃あまり耳にしないでしょうか。また、ネグレットというと南西地方のフロントンのワインの方がまだ有名かもしれませんね。ロワール地方から南下すれば確かに南西地方ですから、この地で栽培されるのも自然な流れなのでしょう。さて、こちらのワイン2010か2011年頃にフランスで購入したものです。その時も美味しかったのですが、熟成するとどうなるのか知りたくてしばらく置いていた次第です。今回ふと思い出してラムしゃぶ屋さんに持ち込み試したところこれがぴったり!

ネグレットというと南西地方のイメージからすれば、スパイシーな風味でタンニンががっしりの堅牢なワイン、なのですが、こちらのフィエフ・ヴァンデアン・ブレムは海のすぐ近くのこともあり、もっとタンニンもきめ細かくこなれた味わい。滑らかでしっとりです。もちろん程よい熟成感も相まってのことかと思います。これが薄切りで、かつスープにくぐらせて食べるしゃぶしゃぶの質感と良いバランスに。そして羊の独特な風味にそのスパイシーさがうまく組み合うのです。あれよあれよと1本空いてしまい、もう1本何か持参すればよかった、と後悔しきり。そう、本当に料理とワインが合った時というのは、するするとワインのボトルが空になるものです。

 

こちらのドメーヌ、日本にも輸入されていますが、このキュヴェはどうやら入っていないようですね。残念。でも他のキュベも美味しい造り手さんですよ。