長良ワイン

去年初めて飲んで、昨年一番衝撃的だった日本のワイン。それからずっと訪れたかったワイナリー、というか、ワインの造り手さん。

 

その味わいのとてつもない滑らかさ、そして清らかさ。なんのけれん味もなく、何かを狙った感じもない、ただ静かに流れるその日本的な味わいに、いったいどんなところで、どんな方が造っているんだろうと、ずっと気になっていたのです。

 

日本においてこの味わいに共通項を持つと私が勝手に思うのは、山梨の菱山中央醸造さんの甲州。

もちろん白に関しては品種も違いますし、造られる環境や風土もまるきり違いますが、いずれも気負いや、余計な人為的介入を感じさせない自然体の味わいなのです。

そう、以前セミナーでもお出しているので、もしあの味わいがお好きな方であれば、ここのワインもぜひ!

 

写真はご自宅のすぐ裏手にある畑の樹齢30年を超えるデラウエア。

そしてこれはデラウェアの原木で、一般的なものより粒が小さいそれは、今の日本において非常に珍しいものであるそうです。

でも「ある程度樹齢が上がったら、切って植え替えなければ・・・」だそうで、他にも既に切られている樹がありました。

このご自宅裏手の畑は一切の農薬不使用だそうで、それでも「樹齢が高いせいか平気。」と。ちなみに同じ畑に葱なども植えてあり、「あまり植えると栄養取られちゃうけどこれくらいなら大丈夫でしょ。」と。

ご自宅&醸造所、畑からものの100〜150メートルくらいのところに川幅も大きな長良川があるせいか、とにかく空気がしっとり穏やか。

もちろん契約農家さんも付近に点在しています。(デラウェア、ベーリーA)そして山に降った雨による地下水が地面のあまり深くないところを流れるそうで、なるほど、あのしっとりと流れていく味わいは、このような場所で造られているんだと納得。なにより造り手さんの穏やかで自然体の人柄がワインによく現れているような気がします。「ワインはもう自分のしか飲まないし、他はよく判らないんだけど・・・」なんて。しかし、そんな長良ワインさんには日本全国各地から造り手さんが訪れているようです。

亜硫酸を全く使用しない昔ながらの手法を、声高に主張することもなく、当たり前のように造られるその姿に、きっとファンも多いのでしょう。

日本ならではの一升瓶ワインもあり、今の造り手さんのお父様の代からずっと買い続けているお馴染みお客さんさんがいらっしゃる長良ワインさんには、「ここのワインしか飲まないんだけど・・・」という方も、きっと多くいらっしゃるのではないでしょうか。

流行や昨今の日本ワインブームとは違い、「ただただ好きだから」ずっとそのワインを飲んでいる、それはとても格好良いことだと私は思います。