アルザス・ローヌ試飲会

ニュージラーランドワイン試飲会の前日は、アルザス・ローヌ試飲会でした。ふたつの産地同時の試飲会ですからその規模は大きく、なんと試飲ワインは総数約600種類。インポーターのブースも60ほどもあります。

もう会場をぐるっと見回しただけで、気が遠くなりそう。。。

ともあれ今回私はアルザスを集中して試飲してきました。

また11月に再訪を考えているので。


今までセミナーに来てくださる皆さんに質問しても、日頃アルザスワインを楽しまれる方はほとんどおらず、(ワインをよく飲まれるのに)ワイン好きの方の間で話題になるのは著名な造り手さんばかりで、ワインショップの棚でもそういった著名な一部の著名生産者以外アルザス・ワインは決して目立つとは言えません。現地で良い生産者のワインを飲むと、安価な価格帯でも美味しいワインはたくさんありました。こういったワインになぜ日本で出会えないのだろう、と。

しかし、今回試飲していて、思ったことがあります。

まず、扱われている品種がアルザスを代表する品種とされるリースリングばかり。次にあるとするとピノ・グリとゲヴェルツトラミネールでしょうか。悪いとは言いませんが、せっかくアルザスには多彩な品種があるのですから、もう少し色々とバランスよく楽しめると良いような気がします。

私の好きなミュスカなどは一握りでした。

 

そして、残念なことにグラン・クリュ以外で「ああ、この価格で、この味でハッピー!!」と感じるようなワインがあまり見当たらないのです。

しかしグラン・クリュには「おおっ!」と感じさせられるワインがある。(全部とは言いませんが)グラン・クリュの価格帯が、そう古くないヴィンテージなら、だいたい5000〜6000円のところにあり(もちろん生産者やヴィンテージで異なりますが)、そうでないワインが2000円から4000円以内のところにあり(単なるAOCアルザスか、区画名がつくかでその幅があるようです)その価格差の幅と味わいの感動の幅を考えると、確かにこれならいっそグラン・クリュ買った方がいいよなぁ、と思ってしまう気がします。きっと敢えてアルザスワインなどに手を伸ばす方は、余程のワイン好きで、ある程度知識があり、しかも味わいの経験値もある方でしょうから、それであれば、この価格差なら確かにグラン・クリュを買ってしまうでしょう。


でも、現地なら安くて美味しいアルザスワインがあるのも事実で、

う〜ん、なんともいえないジレンマですね。

 

今回「おおっ!」とひときわそのパワーを感じたのは、ドメーヌ・ポール・ブランクのリースリング・グラン・クリュ・シュロスベルグとゲヴェルツトラミネール・ヴィエイユ・ヴィーニュ・フルシュテンタム。

口の中での広がりやその勢い、そしてその存在感は圧巻でした。

ポール・ブランクは私がまだワインを飲み始めて間もないころにアルザスワインって美味しい!と思うきっかけとなった造り手さん。とてもクリアで透明感があり、それでありながらワインの方から近づいてきてくれる親しみやすさのある味わいだと思っています。久しぶりにテイスティングさせて頂き、やはりいいなぁ、と思った次第。同時に、これを機会に今一度アルザスのグラン・クリュを見なおして見たくなりました。

アルザス地方は今2017年を目処にプルミエ・クリュの制定が検討されています。(現在リューディー名を名乗っている所が対象とのこと)

そうなればグラン・クリュ、プルミエ・クリュ、そしてAOCアルザスの違いの認識が重要になってくるのではないでしょうか。

特にグラン・クリュとプルミエ・クリュの違いを考え認識するためにも、現時点でのグラン・クリュについての味わいを再認識しておきたいと思うのです。よしっ、次回のアルザス訪問のテーマは決まりました。

 

そうそう、もうひとつ良いと思ったグラン・クリュがあります。

ドメーヌ・ヴァランタン・ズュスランのリースリング・グラン・クリュ・フィンスベルグ。ゆったりとした大きな広がりがあり、豊かな優しさを感じる味わいでした。私はいつも最後にその日「とても良い!」と思ったワインを再度試飲して帰るのですが、まだ試飲会終了には時間があるにも関わらず、既にワイン終了でした。こういったことはよくあり、やはり美味しいと思うものは皆さんも美味しいと思うのでしょうね。飲めなくて残念なような、それでいて「だよね〜!」という嬉しい気分もあり、なかなか複雑な気持ちではあります。